イツカ ミライハ

ネトフリのオムニバスSFドラマ「イツカ ミライハ」全部で四話あるうちの第一話「厄介者」と第二話「ゆがんだ楽園」を見ました。

タイ版ブラック・ミラーなんていう人もいるみたいで、性産業を扱っていたりして家族みんなで見るタイプの作品ではないです。
恋人と一緒に見るというよりは、一人でじっくり見て、深く考えるのがよいのだろうなと思いました。

タイといえば映画「ミッドナイトスワン」で草彅剛さん演じる凪沙が性転換手術を受けたりするように、けっこうジャンダーとかLGBT-Qについては日本よりも進んでいるような気がします。とはいえ、自分はタイには一度も行ったことがないので、実際のところはわかりません。

「タイ+セックスワーカー」で検索することで手に入る情報でしか知らないです。「ゆがんだ楽園」の中では「我が国には売春はない」みたいなセリフがあったりするのですが、それが皮肉にあふれているのは見ていて伝わってきます。

全部で四話ということなので、一話一話が独立した話なんだろうけれど(舞台が違うし、設定されている時代も微妙に違うっぽい)四話通してみることで、考え方や捉え方が変わってくるのかもしれません。

第一話の日本語タイトルは「厄介者」ですけれど、これの原題名は「Black Sheep」になってます。

このBlack Sheepという慣用句、自分は知らなかったので調べてみました。

Black Sheep:

英語において、黒い羊(くろいひつじ、black sheep)は、例えば家族内で浮いている人のように、集団内での「身勝手で」異質な成員について説明するために使用される慣用句である。

この言葉は、毛が一般的な白色では無く、黒く変色した羊に由来する。黒く色づいた羊は、群れの中で目立つ存在であり、加えて、黒い羊毛は染色できなかったため、旧来より価値の低いものだと考えられていた。

一般的には「身勝手によって要望や期待から逸脱していること」を暗喩する、否定的な意味合いを持っている。

心理学では、集団の成員が、好感を持つ特定の身内(英語版)の成員をひいき目に見る一方で、そこから逸脱した身内の成員を、外部者よりも低く見るようになる傾向のことを指して、黒い羊効果 (black sheep effect) と呼称する。

このBlack Sheepという存在が、誰のことなのか考えてみると、物語が進んでいくにしたがって、変わってくるのですよ。

あと心理学用語としての「黒い羊効果」というのも、このドラマを見て初めて知りました。

グループへの帰属意識が強くなると異質なものを排除したり、それに対して攻撃的になったりするということらしいです。

学校やアットホームな職場環境で「黒い羊効果」が強化されるといじめがエスカレートしたりして事件になるということなんですな。

「自分の中にもそういう傾向や思考要素が存在している可能性がある」と意識することで「黒い羊効果」を制御できそうです。

 

自分が知らない人や、接したことのないコミュニティーに属している人について抱いている印象は、実際にあって、面と向かって会話すると、たいてい覆されるものです。
「◯◯人はみんな✕✕だ」とか「◯◯国の人間は✕✕だから信用できない」みたいなことを言う人はだいたい、その国に一度も行ったことがない人だったり、行ったとしてもごく短い期間だったり、狭い地域だったりするので、そういう人の意見というのも「黒い羊効果」によるブーストが掛かっていると思うのです。

 

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