軟水と硬水の違い。

軟水と硬水の違いは、主に水中に含まれるカルシウムやマグネシウムの量による「硬度」にあります。軟水はこれらのミネラルが少なく、硬水は多く含まれています。料理において軟水が美味しいとされる理由は以下の通りです。

軟水と料理の相性

軟水の特徴

– 口当たりが柔らかい: 軟水は硬水に比べて口当たりが柔らかく、さっぱりとした飲み口です。
– 料理に適している: 軟水はミネラルの含有量が少ないため、独特の風味や口当たりがなく、料理に影響を与えにくいです。

軟水が料理に合う理由

素材の旨味を引き出す: 軟水は素材の味を邪魔せずに引き立てることができます。特に和食の出汁や煮物、ご飯の炊飯に適しています。
アクが出にくい: 昆布や鰹節で取る「だし」では、軟水を使うとアクが出にくく、旨味が引き出されます。

例えば
炊飯: 軟水を使って炊くと、ご飯がふっくらと柔らかく仕上がります。
出汁: 軟水で昆布や鰹節の出汁を取ると、素材の旨味が引き出されます。

一方、硬水は洋風の煮込み料理やパスタの茹でに適していますが、日本料理にはあまり適していません。これは硬水のクセが強く、素材の味を邪魔することがあるためです。

軟水と硬水のミネラル内容の違いは、主にカルシウムとマグネシウムの含有量によって決まります。この含有量の差は「硬度」として表されます。

硬度の基準

日本の一般的な基準
– 軟水: 100mg/L未満
– 硬水: 100mg/L以上

WHO(世界保健機関)の基準
– 軟水: 60mg/L未満
– 中程度の軟水: 60~120mg/L
– 硬水: 120~180mg/L
– 非常な硬水: 180mg/L以上

具体的な例
– 東京の水道水: 硬度約60mg/L(軟水)
– エビアン(ミネラルウォーター): 硬度304mg/L(硬水)

ミネラル含有量の計算方法

硬度は以下の式で計算されます:

硬度 = (カルシウム量mg/L × 2.5) + (マグネシウム量mg/L × 4)

例えば、エビアンの場合:
– カルシウム: 8mg/L
– マグネシウム: 2.6mg/L

このように、軟水と硬水では含まれるミネラルの量に大きな差があり、それが味や用途の違いにつながっています。

軟水と硬水の違いの主な原因は、水が通過する地質や岩石の種類にあります。日本と欧州の水の硬度の違いも、この地質学的な要因によるものです。

軟水と硬水の原因

1.地質の影響

– 軟水:花崗岩や火山岩などの硬い岩石を通過する水は、ミネラルを溶かしにくいため軟水になりやすいです。
– 硬水:石灰岩や白亜などの柔らかい岩石を通過する水は、カルシウムやマグネシウムを多く溶かし込むため硬水になります。

2.水源の違い

– 軟水:雨水や表面水(河川、湖沼)は一般的に軟水です。
– 硬水:地下水は岩石と長時間接触するため、硬水になりやすいです。

日本の水が軟水である理由

1.地質的特徴

– 日本は火山国であり、花崗岩や火山岩が多く存在します。
– これらの岩石はミネラルを溶かしにくいため、軟水になりやすいです。

2.水源の特徴

– 日本の水道水の多くは河川水を源としています。
– 河川水は地下水に比べて岩石との接触時間が短いため、軟水になりやすいです。

欧州の水が硬水である理由

1.地質的特徴

– 欧州の多くの地域、特に中央ヨーロッパは石灰岩や白亜の地層が広がっています。
– これらの岩石はカルシウムやマグネシウムを多く含み、水に溶けやすいです。

2.水源の特徴

– 欧州の多くの地域では地下水を水源としています。
– 地下水は長時間岩石と接触するため、多くのミネラルを溶かし込み、硬水になります。

このように、地質学的な違いと水源の特性が、日本の水が軟水で欧州の水が硬水である主な理由です。

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