物語の世界では、AIやテクノロジーの急激な発展に伴う格差社会への反発から、2030年代後半にアメリカ合衆国が「赤いアメリカ」「青いアメリカ」「グレーアメリカ」に分裂し、激しい内戦状態へと突入します。
1. 分裂の背景:「ネオ・フェデラリスト」の過激化
分裂の決定的な引き金となったのは、共和党政権の一部が過激化して生まれた「ネオ・フェデラリスト(NF)」という原理主義組織の台頭です。 彼らは「アメリカ合衆国憲法が制定された1787年(18世紀)の社会通念こそが至高である」と主張し、以下のような極端な思想を掲げていました。
- SIDを含むすべての近代科学技術の排斥(「脳にカビが生える」などと嫌悪する)。
- 人種差別の正当化や性別役割の厳格な固定。
- 現代的な公立学校・大学教育の否定。
2036年に共和党政権が誕生した後、翌2037年に彼らの陰謀(ファイルの流出や暴露)が明るみに出たことで、テクノロジー推進派の「青」と反テクノロジー派の「赤」による内戦が激化します。
2. 三つのアメリカの建国(2038年)
内戦の激化により、2038年前半にアメリカ大陸は以下の三つの国家へと分裂・再編されました。
- 赤いアメリカ(アメリカ南部連邦 / ReFederalism) 2038年1月17日独立宣言。メキシコやキューバなどを併合し、ネオ・フェデラリストによる統治が行われました。
- 青いアメリカ(アメリカ北部連合) 2038年2月25日独立宣言。SID(生体侵襲型BMI)をはじめとする最先端テクノロジーの導入に積極的でした。
- グレーアメリカ(アメリカ中央共和国) 2038年6月12日樹立。(のちの2050年に行われた統一選挙によって、ベリーズ、ニカラグア、コスタリカ、ジャマイカなどもグレーアメリカの一部に組み込まれることになります。)
3. 内戦の経過と「大いなる粛清」による終結
内戦が進行するにつれ、テクノロジーを積極的に受け入れた「青いアメリカ」と、技術の進歩が止まった「赤いアメリカ」の間には絶望的な国力・戦力差が生まれます。赤いアメリカ側は爆弾テロやローテクなゲリラ攻撃で抵抗を続けたものの、次第に支持を失っていきました。
そして内戦のピークである2048年、事態は「大いなる粛清(The Great Erasure)」と呼ばれる歴史的転換点を迎えます。
- 急進派の一掃:赤いアメリカ内部で、暗殺や謀反によりネオ・フェデラリストの反テクノロジー的なリーダーシップ陣が排除されました。
- 情報と技術の解放:青いアメリカ側による情報ネットワークの書き換えや軍事的・経済的打撃により、赤いアメリカの分離主義勢力は壊滅。
この粛清によってテクノロジーに対する抵抗勢力が消滅したことで、アメリカの内戦は沈静化し、SID(生体侵襲型BMI)を基盤とした新たな世界秩序と経済発展の時代へと移行していくことになります。